平成23年度クリニカルクラークシップ指導者養成講習会
- 平成23年7月20日(水)17:50-21:00 第3?第4会議室
- タスクフォース:赤池雅史(医療教育学分野、医学部教育支援センター、医療教育開発センター、キャリア形成支援センター)、三笠洋明(医学部教育支援センター)
- 主 催:徳島大学医学部教育支援センター
- 共 催:徳島大学病院キャリア形成支援センター?大学病院連携型高度医療人養成推進事業「四国本州メディカルブリッジ高度医療人養成」、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部医療教育開発センター、徳島大学医学部FD委員会
卒前臨床実習における診療現場での指導のあり方を習得することを目的として、3つのワークショップと1つのミニレクチャーの構成で講習会を実施しました。この講習会は、生涯教育の観点から、初期臨床研修や専門医トレーニングでの指導にも繋がることを目的としています。臨床系分野から16名の参加があり、参加者によるポストアンケートでは、総合平均で4.27点(5点満点)のご評価をいただきました。診療で忙しい中、ご参加いただいた諸先生方、本当にありがとうございました。
■WS1「今,クリクラで問題と思うこと」
KJ法を用いて臨床実習の問題点について診療現場からの意見を議論した。 学生側の問題点としては「事前の自己学習やトレーニングの不足」「積極性?やる気に個人差が大きい」、指導医側の問題としては「指導できる時間の不足」「指導医の数の不足」「指導方法や指導の質に個人差が大きい」「一方的な説明や見学のみの指導」、教育環境?システムの問題としては「教育に関する教員評価が不十分」「教育への協力に関して、大学や病院としての患者さんへの説明が不十分」等が挙げられた。
■ミニレクチャー「診療参加型臨床実習とは」
赤池雅史(徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部医療教育学分野)
診療参加型臨床実習の目的、意義等の基本事項についてレクチャーを行った。クリニカルクラークシップは成人学習理論に基づいたon-the- job-trainingであり、準備教育、学習者に持ち場?役割を与える、フィードバック、評価、フォローアップが重要であることが説明された。さらに、卒前における診療参加とは単に手技をさせることではなく、診療チームの一員としての役割を持たせること、特に医療面接?身体診察?診療録記載?プレゼンテーション等の基本的技能の学習が重要であることが強調された。これらの基本的技能については、米国の研修医に比べると日本の研修医は2-3年程度遅れていると指摘されており、専門医研修へと繋がる生涯学習の観点からも、卒前教育の段階で十分なトレーニングを積む必要性があることが指摘された。また、「指導医が臨床医として模範的」、「医療面接を行った患者数などに代表される診療参加の度合い」が学生による臨床実習満足度を規定しており、これは卒後研修~専門医研修においても共通する可能性が高いことが報告された。
■WS2.「効果的指導法?5マイクロスキル実践」
"環境づくり→学生による症例提示に基づいた患者の診断→5マイクロスキルを用いた学生の診断?評価(1.考えを述べさせる,2.根拠を述べさせる) と学生への介入(3.一般論のミニ講義,4.できたことをほめる,5.間違いを正す)"から構成される効果的な指導方法について,ロールプレイを行った。ロールプレイでは、高圧的?威圧的な指導、一方的に教えてしまう指導、5マイクロスキルを用いた指導の3つのパターンを経験し、さらに5マイクロスキルを用いて 実践的な指導方法の練習を行った。この指導方法は、卒後研修~専門医研修における指導としても活用できるものである。
■WS3.「効果的なクリクラとするには ~現場からの提案~」
学生が効果的に学ぶことができるクリニカルクラークシップとするための現場からの提案について、KJ法を用いて議論した。臨床実習前教育の充実(実習前に習得が必要な知識?技能?態度の明示)、学外実習の推進、コメディカル評価を積極的に加える、若手医師が指導法の教育を受けることができる機会を増やす、病院組織として患者さんに学生実習に対する協力を積極的にお願いする、臨床実習指導に対する指導者の評価を高くする、指導者ポストを増やす、教育を補助する人員を増やす等、卒後研修~専門医研修における指導体制の充実に必要な事項と共通する多くの意見があった。