徳島大学?高知大学?香川大学との共同開催
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<授業実践の成果を発表しよう>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。

■開催日時
 第1回 2024年9月12日(木)12:05~12:50
 第2回 2024年9月19日(木)12:05~12:50

■参加者
 第1回 9月12日
  48名(Zoomによるオンライン)
 第2回 9月19日
  51名(Zoomによるオンライン)

■コーディネーター?講師?登壇者
  コーディネーター: 塩川 奈々美(高等教育研究センター)
 第1回 9月12日
  講 師: 塩川 奈々美(高等教育研究センター)
 第2回 9月19日
  講 師: 塩川 奈々美(高等教育研究センター)
  登壇者: 森口 茉梨亜(徳島大学高等教育研究センター)
       杉田 郁代(高知大学学び創造センター)

■内容
 第1回
 今週は主に講師による講義という形をとり、日ごろの教育実践を発表や論文として執筆することの意義や目的、およびその機会について解説が行われた。
 解説の内容は、「授業実践を発表しよう」「授業実践の発表の意義」「授業実践の発表の構成」から構成されていた。まず「授業実践を発表しよう」では、日常における授業実践から気づいたことをもとに、理想と現状とのギャップを特定し問いを立てることから授業実践研究が始まることが述べられた。その際に講師からは、「研究」としてハードルを高く設定するのではなく、同じ教育に携わる仲間を見つけ情報共有し、自身の授業や担当する学生について振り返る機会にするといった、「気軽な気持ちで行う」ということが強調された。同時に教育実践を報告?発表する場として、徳島大学における「大学教育カンファレンスin徳島」や「大学教育研究ジャーナル」についても紹介された。
 続いて「教育実践を報告する意義」として、①自身の業績になること、②授業を改善する機会になること、③同様の問題意識をもつ人と交流できること、④実践が「皇冠比分网_皇冠体育投注-【长期稳定直播】」として蓄積され、他の教員の実践や学問的発展に役立つこと、の4点が挙げられた。
 さらに「授業実践の発表の構成」では、文献をもとに授業実践研究を行う際に求められる内容、とくに実践研究として議論するために重要となるデータに注目して解説が行われた。授業実践研究を行う際に用いられるデータとしては学生の成績やテストの結果といった量的に分析可能なデータだけでなく、学生の授業に関する振り返りやインタビューといった質的なデータも利用可能であることが示された。

 第2回
 今週は、教育実践報告の実態や実情について紹介することを念頭に、前回紹介した「大学教育カンファレンスin徳島」における報告のデータや、実際に教育実践報告を行った大学教員へのインタビューが行われた。
 まず「大学教育カンファレンスin徳島」について、2018年から2023年までの直近6年間における発表内容の分析結果について報告が行われた。その中では、発表総数170件のうち特筆すべき結果として、教員による発表が全体の75%を占める一方で学生による発表も20%ほど見られたこと、先行研究?資料等のレビューが含まれた発表は75%、発表に用いられたデータのうち全体の55%はアンケート結果で、成績や試験?学生の成果物を用いた発表は6%、さらに両方を併用した発表は全体の3%であること、発表の60件以上を占めるのが授業?実習に関する実践報告であったこと、等が挙げられた。
 続いて実際に授業実践報告を行った大学教員として、徳島大学高等教育研究センター 森口 茉梨亜 先生、ならびに高知大学学び創造センターの杉田 郁代 先生に登壇いただき、「どのようなテーマの発表を行ったか」「発表に向けてどのような準備を行ったか」「発表して良かったこと、気づいたこと」「初めて授業実践報告を行おうとしている人へのメッセージ」の4点についてインタビューが行われた。インタビューからは、「発表にあたり教育に関する理論を学んでいった」「発表を通じてこれまでの実践の振り返りができる」「教育実践報告に参加し他の教員の発表を見たり交流したりすることで、新しい考え方に気づく機会にもなるとともに、教育に対して同じような意識をもつ教員同士の関係を築く場になる」といった発言があった。
 最後に講師から「授業実践の発表に向けて」と題して全2回のまとめがなされ、その後引き続いて参加者からの質疑応答が行われた。

■成果と課題
 参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回はほぼ全て、第2回では全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果
   第1回(9月12日)   第2回(9月19日) 
とても当てはまる

13 (61.9%)

4 (44.4%)

どちらかといえば当てはまる 7 (33.3%) 5 (55.6%)
どちらかといえば当てはまらない     1 (4.8%) 0 (0%)
まったく当てはまらない 0 (0%) 0 (0%)
合 計 21 (100%) 9 (100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

 自由記述においては、第1回では日頃の教育実践を報告?発表する意義や、その機会としての「大学教育カンファレンスin徳島」や「大学研究ジャーナル」を知ることができたという感想が寄せられた。加えて第2回では、登壇者を招いてインタビューを行う試みに対する好意的な意見が見られた。
 一方、今後の課題として検討すべき記述として、セミナーについて「誰を対象とするか」があらかじめ分かるよう、例えば「初心者用」「中級者用」「上級者用」とレベル別に示して欲しいというものがあった。加えて、今回は「大学教育カンファレンスin徳島」や「大学教育研究ジャーナル」の発表者?投稿者募集についても時間を割いたため、それらを含めた各種案内の時間が多かったという指摘もあった。同時にこれらの案内事項については配布資料のみに詳細を載せることし、セミナー内では概要のみを述べるのでよいのではという提案も挙げられた。さらに、自由記述には「授業実践の報告について相談に乗ってもらうことは可能か」といったもののほか、セミナー内での質疑でも利用するデータに関連する研究倫理の問題を中心とした報告の仕方に関する質問が寄せられた。以上を踏まえると、今後は実際に実践報告を希望する教職員に向けたガイドや相談窓口等の整備、より詳細なデータ収集や執筆に関連するセミナーといった、さらに一歩踏み込んだ研修が求められていると言える。また、英語を母語としている見られる教員から主要なスライドについて英語訳をつけてほしいという記述も見られた。これについてはただちに取り組むことは難しいが、今後アーカイブ動画や資料を整理する際に検討する余地があると考えられる。

■アンケート回答結果
 第1回 (n=21)

グラフ1.png
 第2回 (n=9)
グラフ2.png 

■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
写真1.png 
写真2.png 

ご不明な点などございましたら、下記アドレスもしくは、電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp 
           電 話:088-656-7686 内線(82)7125

徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/

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