徳島大学?高知大学?香川大学との共同開催
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<収集された学生データの活用方法―教学IRに向けて―>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。

■開催日時
 第1回 2024年6月13日(木)12:05~12:50
 第2回 2024年6月20日(木)12:05~12:50

■参加者
 第1回 6月13日
  82名(Zoomによるオンライン)
 第2回 6月20日
  66名(Zoomによるオンライン)

■コーディネーター?講師?登壇者
  コーディネーター: 飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)
 第1回 6月13日
  講 師: 飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)
 第2回 6月20日
  講 師: 飯尾 健(徳島大学高等教育研究センター)

■内容
 第1回
 まず今月のセミナーについて、アンケート等の形で学内に蓄積されている様々なデータを用いた分析方法について理解することが目標として提示された。同時に、講師からは今月のセミナーでは統計的な処理が可能な量的データに焦点を絞って扱うことが示された。
 これを受け、今週は量的データの分析における基礎的な点として以下の3つ、すなわち分析前に十分な計画を行うことの重要性、量的データや分析方法の種類、記述統計ならびにクロス集計の実践について、講師から分析の実演を交えた説明が行われた。まず分析前の計画については、使用できるデータの種類や問題意識にもとづいて分析方法を明確にすること、加えて分析結果が明確に出るよう、用いるデータについても厳選することの2点が重要な点として挙げられた。続く量的データや分析方法の種類としては、名義尺度?順序尺度?間隔尺度の3種類のデータの違いや、データの種類によって使用できる分析方法が異なることが説明された。以上を受け、基本的な分析方法として、記述統計とクロス集計が紹介された。これらは基礎的ではあるものの、より高度な分析の計画に向けて必要な示唆を得るためにも重要であることが講師から示され、同時にExcelのピボットテーブルを用いた分析の実演も行われた。

 第2回
 第2回では、前回の内容を踏まえた上で、さらに統計学的に根拠のある分析結果を示すための統計分析の方法について講師から3つの分析方法の紹介とその実演がなされた。その第1といして、学部等の名義尺度を用い、それらの群の間でデータの平均値に差があるかを示す方法の1つである一要因分散分析が講師から示された。講師からは一要因分散分析の説明の後、サンプルデータを使用した統計ソフトSPSSを用いてExcelファイル形式のデータの取り込み、ならびに分析の実施とその結果の読み取り方について、最初から順を追って説明と実演が行われた。
 続いて、2つの間隔尺度同士の値に関連性があるかを検討する方法である相関分析についても紹介と実演がなされた。相関分析はこの方法自体も重要な分析方法であるだけでなく、この後取り上げる重回帰分析に用いるデータを特定するための予備的分析のためにも有用である旨が講師より示された。
 その後、その重回帰分析についても紹介?実践が行われた。ここでは、学習を通じた学生の成長を検討するためのモデルであるI-E-Oモデルを紹介した上で、相関分析では不可能であったデータ間の影響関係を分析できるという重回帰分析の特徴について説明がなされた。その後、相関分析から有意な関連性が見られたデータを使用し、講師が重回帰分析を用いてI-E-Oモデルに沿った分析の実践を行った。
 最後に講師から、IRを想定して分析結果から提案をまとめた例や、RおよびHADといった無料で使用できるSPSS以外の分析ツールについても紹介がなされた

■成果と課題
 参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回?第2回ともほとんどの回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果
   第1回(6月13日)   第2回(6月20日) 
とても当てはまる

20 (52.6%)

16 (51.6%)
どちらかといえば当てはまる 15 (39.5%) 14 (45.2%)
どちらかといえば当てはまらない     2 (5.3%) 1 (3.2%)
まったく当てはまらない 1 (2.6%) 0 (0%)
合 計 38 (100%) 31 (100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

  自由記述においては、第1回では量的データの基本的な扱い方や分析方法について知ることができた、記述統計やクロス集計といった基礎的な分析でもIRに役立てられることが分かったという記述が寄せられた。またIR業務に直接関わらない場合であっても、授業改善に向けたデータ収集に利用できる、学生への研究指導にも活用できそうという評価が得られた。続く第2回では、統計分析の方法を実演して示したことで、どのように統計分析を活用するのかを知ることができたといった意見のほか、SPSS以外にもRやHADといった分析ツールを知ることができた、という感想が挙げられた。
 一方で改善点や要望として、第1回では統計分析の基礎的な内容であったので期待していた新たな情報を得ることができなかった、実際の教育現場での情報を知りたいといったものがあった。加えて第2回では、大学教員の多様な分野?専門性?経歴に合わせ、レベル別のセミナーを設定して欲しいという提案が寄せられた。とくに今回のランチセミナーにおいては、第1回で基礎的なもの、第2回で発展的な内容を扱ったため、参加者のニーズと内容のマッチングが難しい部分も見られたと考えられる。このことは、アンケート結果において、「どちらかといえば当てはまらない」「まったく当てはまらない」といった回答が比較的多く寄せられたことからも推察される。今回の提案は今月のテーマだけでなく、ランチセミナー全体についても該当するものであり、とくに徳島大学?高知大学?香川大学3大学共催となって参加者もより多様になった現在にあって重要なものと考えられる。したがって、今後はあらかじめ想定する受講者のレベルを設定し、それを事前に示すといった工夫等、参加者の多様性に配慮するような取り組みを検討することが求められよう。

■アンケート回答結果
 第1回 (n=38)

グラフ1.png
 第2回 (n=31)
グラフ2.png 

■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
写真1.png 
写真2.png 

ご不明な点などございましたら、下記アドレスもしくは、電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp 
           電 話:088-656-7686 内線(82)7125

徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/

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