平成30年度 SIH道場振り返りシンポジウムを開催しました
1)開催趣旨
各学部?学科での「SIH道場~アクティブ?ラーニング入門~」を振り返り、取組内容および成果と課題を共有し、次年度のプログラム改善に繋げる。
2)実施概要
日 時:平成30年11月16日(金)16:30~19:00(16:00受付開始)
場 所:常三島キャンパス 総合科学部地域連携プラザ2階地域連携大ホール(けやきホール)
参加対象:大学、短大、高等専門学校、高等学校の教職員及び学生
【平成30年度SIH道場~アクティブ?ラーニング入門振り返りシンポジウムポスター】
3)開催報告
最初に、高石喜久理事?副学長(大学教育再生加速プログラム実施専門委員会委員長)が開会の挨拶を行った。
次に「平成30年度SIH道場の総括」として、塩川奈々美特任助教が、大学教育に対する社会のニーズの変化、SIH道場の目的および平成30年度の各プログラムの取組み概要について紹介すると共に、平成30年度の学生アンケート結果について全国の学生の傾向と比較する形で説明を行った。続いて、「SIH道場授業設計コーディネーターによる実施報告」として、藤野裕道教授(薬学部)と日下一也講師(理工学部(機械科学))が報告を行い(詳細については、資料の報告スライドを参照)、その後「ディスカッション(1)」には塩川奈々美特任助教、藤野裕道教授、日下一也講師が登壇し、上田勇仁助教の司会のもと、初年次の学生に求められる汎用的能力の在り方や、SIH道場の今後の大学教育の中での位置付けについてディスカッションを展開した。
また、「ポスター発表」として、各15プログラムの担当者と医療教育開発センターの担当者がそれぞれのSIH道場の取組について報告を行い、参加者の質問に答えた。
「SIH道場受講生からの報告」においては、SIH道場評価?改善ワーキンググループの学生委員の22名がステージ前に立ち、「役立った点」と「改善点」を指摘する形で全学部学科の学生委員が意見を述べた。
SIH道場が役に立った点としては、以下が挙げられた。
?担当教員の研究内容の体験が今後の学習内容を先取りすることができた。
?研究室訪問や機械設備に触れることは、学ぶ内容を実感する事ができた。
?教員によるレポートの書き方、添削、フィードバックがあった。
?動画視聴後のクイズは面白く、知識確認の上でも役に立った。また動画の視聴内容に関するレポートがあっても良かった。
?ジグゾー法により全員発表する機会が持てた。
SIH道場の改善点としては、以下が挙げられた。
?SIH道場が1週間で完了するため、事前?事後の間が短かった。
?ビデオ教材でプレゼンの方法を学習し、グループ全員が発表したが、発表方法やその内容に関する教員からのフィードバックがほしかった。
?SIH道場は入学式時期の4月初めに2回だけの実施だった。もう少し時間をかけてほしい。
?研究室の訪問は学生番号で振り分けずにある程度希望をとってほしい。
?入学前にSIH道場が実施されたため、cアカウントの入手が間に合わず、ビデオ教材の活用など、一部取組に支障が出た。
「ディスカッション(2)」には、総合教育センター教育改革推進部門の上田勇仁助教が司会を務め、パネリストとして、教養教育院より宮崎隆義教養教育院長(大学教育再生加速プログラム実施専門委員会副委員長)、授業設計コーディネーターより藤野裕道教授、総合教育センターより塩川奈々美特任助教、SIH道場評価?改善ワーキンググループ学生委員より代表者として本学学生の前川恭平君、出羽暉君、増田花鈴さんが登壇し、ディスカッションおよび質疑応答を行った。
本シンポジウムには、学内教職員、学生および外部評価委員の94名が参加し、今年度のSIH道場の課題を踏まえ、次年度に向けた改善点を考えるための機会となった。
4)ディスカッションのまとめ
ディスカッションは、シンポジウムで共有されてきたSIH道場の実施報告やアンケート結果、学生からの意見などを踏まえて、さまざまな立場の参加者間で議論を行い、次年度以降のプログラム改善に繋げることが目的である。登壇者は、教養教育院より宮崎隆義教養教育院長(大学教育再生加速プログラム実施専門委員会副委員長)、授業設計コーディネーターより薬学部藤野裕道先生、各プログラムの実施支援の立場より総合教育センター教育改革推進部門の塩川奈々美特任助教、受講者の立場より医学部保健学科(検査技術科学専攻)の前川恭平君、理工学部理工学科(情報光システムコース)の出羽暉君、増田花鈴さんの6名であり、司会は総合教育センター教育改革推進部門の上田助教が務めた。
「ディスカッション(2)」では、フロアからの質問を受ける形で議論が展開され、主に4つのテーマが議題となった。
まず、SIH道場の運営側に向けた議題として、学内教員によって寄せられた「SIH道場やアクティブ?ラーニングで何を身に付けようとしているのか。」という質問については塩川特任助教により「SIH道場は、学生たちが今後学修する上で必要となる学修方法、態度など、そういった"素地"を養う機会と考えるべき」という回答が得られた。さらに上田助教によって「主体的な学びの育成については一単位必修のSIH道場内で行われることにこだわらず、カリキュラム、他科目との連動を視野に議論されるべき」であるとの見解が示された。また、学内教員からの「SIH道場の中で新たな学修方法として様々な教材が提供されているが、教員の活用率や、学生の反応はどういう状況なのか。」という質問については、学生たちの感想が求められた。登壇学生3名からは、使用感について利便性を認める一方で、現状の複数のシステムをシンプルな形に統一してほしいとする意見が述べられた。また塩川特任助教によってICT活用の普及率は高くはないものの、利用者からの評価の高さや徐々に浸透している実情があることが共有された。
次に、登壇した学生たちに向けて2つの質問がなされた。
まず1つ目の「SIH道場を終えて、大学入学後半年間で、大学での学修にどのような目標を持ったのか。」という質問について、理工学部(情報光)の増田さんは「人のために何かを作り出す仕事がしたいと思い、理系の道に進んだ。大学では自由な選択ができることを活かし、自分の成長を目指した勉強を続けている。」と答えた。同じく理工学部(情報光)の出葉君は「大学での教育を受けて、プログラミングや数学に興味が湧いた。カリキュラム上、『勉強しなければならない科目』も多いが、基本的には自分の興味関心に基づく学びに取り組んでいる。」とした。さらに医学部保健学科(検査)の前川君は、高校時代から研究に興味があったと言い、「所属(医学部保健学科(検査))の性質上、学ぶ目的は何かと問われれば『国家試験に合格するため』と言わざるを得ないが、それまでの勉強の中でしょうらいてきな研究テーマを見つけていきたいと考えて学んでいる。」と述べた。
2つ目の「企業が求める人材に必要な能力として「企業が求める人材に必要な能力の「コミュニケーション能力」と学生たちが思い描くコミュニケーション能力とは同じなのか。SIH道場でそれは身についたのか。」という質問については、登壇学生3名の間で「仕事を円滑に行うために自分の考えを適切に伝えられる能力」という点で共通していた。これらの考えに対し、質問者は「SIH道場で達成できたのか」と投げかけ、増田さんは「受講生全員ができたとは思えないが、個人的にはこれまで苦手であったコミュニケーションがある程度改善したという意味では達成することができたと考える。」と回答した。
これらの議論の内容を受けて、宮崎教養教育院長によって「教養教育院でSIH道場に期待すること、初年次教育を担う教養教育院が今後展開していくこと」に関する意見が述べらた。まず、「教養教育」という考え方は「大学での初年次にとどまらず生涯かけて行うものである」と述べ、学生はその学びへのモチベーションを維持するために「各学部学科のカリキュラムについて、カリキュラムマップやナンバリングなどを活用しながら、自分の目標とするところにどのように歩んでいくかを考える必要がある」と指摘した。
教育現場では、近年、アクティブ?ラーニングを意識した授業が実施されており、「教員側からの知識伝達にも様々な工夫がなされるようになってきた」とされ、「この状況に学生による主体的な学びが加われば効果的なアクティブ?ラーニングが展開されるだろう」とまとめられた。
今後のSIH道場を運用していく上で、学生たちの学びを一単位の枠組みで完結させなければならないということではなく、他科目へ繋がり、その学び?学ぶ姿勢が将来的な学修の深化へと続くよう、全学的な連携を図る必要性が示唆された形である。継続的かつ発展可能なSIH道場の運用を目指し、教員、学生双方との議論を重ねていく必要があるだろう。
学科の実例報告 パネルディスカッション
学科の取組報告 SIH道場に関する評価?改善WG委員発表
5)平成30年度SIH道場振り返りシンポジウム 参加者アンケート集計結果
開催日時:平成30年11月16日(金)16:30~19:00
参加者数:94名(うち運営スタッフ10名)
アンケート回答者数:69名(回収率:73.4%)
問1. 回答者の所属について
問2. 振り返りシンポジウムについて
問3. 振り返りシンポジウムに参加した感想