国立大学法人の機能強化へ向けた国による支援の充実を求める声明
―第4期中期目標期間に向けて―
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国立大学法人徳島大学経営協議会学外委員
飯泉 嘉門(徳島県知事)
植田 貴世子(株式会社クラッシー代表取締役)
梅田 真司(ケーブルテレビ徳島株式会社代表取締役社長)
北畑 洋(徳島県病院事業管理者)
大西 康生(株式会社阿波銀行取締役監査等委員長)
結城 章夫(学校法人富澤学園理事長?元国立大学法人山形大学長)
米田 豊彦(一般社団法人徳島新聞社理事社長)
私たちは、国立大学法人徳島大学経営協議会の学外委員として、これまで徳島大学の諸活動及び将来構想並びに財政など経営に関する重要事項を審議し、助言を行ってきた。国立大学法人の経営協議会学外委員は、国立大学法人法(平成15年7月16日法律第112号)第20条第2項第3号に基づくもので、大学経営に参画し、透明性のある大学経営を実現するための「社会の目」としての役割を果たしている。その立場から、国立大学が来年度、第4期中期目標期間を迎えるにあたり、国立大学の教育?研究力を削ぐような単なる効率化や拙速に改革の成果を求めようとする国の支援体制については、危惧せざるを得ない。
国立大学は我が国が誇る重要な公共財であり、SDGsの実現、グリーン?リカバリー、カーボンニュートラルの推進等による地球規模課題の解決や災害、感染症等にも対応することで、高度にレジリエントでインクルーシブな社会の構築に貢献し、デジタル技術を駆使した教育?研究?社会貢献の機能強化、AI人材の育成などにより、国民の全てが発展成長するための、地方創生の中核を担う存在である。その使命を全うするためには、各大学において、様々なステークホルダーの意見を踏まえつつ、その特性に応じた多様な目標?計画達成に向けた取り組みが必要である。
公的な財源を基盤とする国立大学の運営費交付金について、一定のメリハリが求められることを否定するものではないが、一定の財源を毎年度、全大学共通の指標により傾斜配分する現行の仕組みは、各大学の多様性を損ない、最も重要視すべき教育?研究力の向上に繋がっているとは考えられない。この点についての十分な検証をすることなく、国立大学における教育?研究を下支えする運営費交付金について、第4期においても現行の仕組みが継続される方向が示されていることについて、深く憂慮する。
国立大学は法人化以降、国からの運営費交付金が暫時削減されるなど、その厳しい財政状況の中、我々学外委員も協力し、学長のリーダーシップの下、学内の資源配分の見直しや自己財源の獲得に取り組む等の経営努力を重ね、社会から期待される様々な機能を強化?拡張し、特色ある教育?研究の発展?向上に取り組んできている。しかし、運営費交付金の削減により国立大学が教育?研究に充てることのできる資源の大幅な縮小がもたらされ、特に研究については基礎研究?学術研究の苗床が枯れつつある深刻な状況を生んでいる。国は、教育?研究こそが未来の我が国や世界を支える原動力であることを強く意識するとともに、我々国民のための未来への先行投資として増額すべきである。
是非とも国立大学が第4期中期目標期間を迎えるにあたり、各大学が多様性をもってその機能強化を十分に果たすことのできる財政支援制度が確立されるよう要請するものである。