皇冠比分网_皇冠体育投注-【长期稳定直播】元年度 若手研究者学長表彰 皇冠比分网_皇冠体育投注-【长期稳定直播】報告
報告者
徳島大学大学院社会産業理工学研究部生物資源産業学域生物資源生産科学分野 特任助教 谷原 史倫
研究タイトル
ゲノム編集技術を用いた遺伝子改変ブタの作製
研究経緯等
【研究グループ】
?徳島大学大学院社会産業理工学研究部生物資源産業学域生物資源生産科学分野 特任助教 谷原 史倫
?徳島大学大学院社会産業理工学研究部生物資源産業学域生物資源生産科学分野 教授 音井 威重
【学術誌等への掲載状況】
1. Tanihara F, Hirata M, Nguyen NT, Le QA, Wittayarat M, Fahrudin M, Hirano T, Otoi T. Generation of CD163-edited pig via electroporation of the CRISPR/Cas9 system into porcine in vitro-fertilized zygotes. Anim Biotechnol, 26:1-8 (2019)(Epub ahead of print)
2. Tanihara F, Hirata M, Nguyen TN, Le AQ, Hirano T, Otoi T. Effects of the concentration of CRISPR/Cas9 components on genetic mosaicism of cytoplasmic microinjected porcine embryos. J. Reprod. Dev., 65(3):209-214 (2019)
3. Tanihara F, Hirata M, Nguyen NT, Le QA, Hirano T, Takemoto T, Nakai M, Fuchimoto DI, Otoi T. Generation of PDX-1 mutant porcine blastocysts by introducing CRISPR/Cas9-system into porcine zygotes via electroporation. Anim. Sci. J., 90(1): 55-61 (2019)
4. Tanihara F, Hirata M, Nguyen NT, Le QA, Hirano T, Takemoto T, Nakai M, Fuchimoto DI, Otoi T. Generation of a TP53-modified porcine cancer model by CRISPR/Cas9-mediated gene modification in porcine zygotes via electroporation. PLoS One,13(10): e0206360 (2018)
5. Tanihara F, Takemoto T, Kitagawa E, Rao S, Do LT, Onishi A, Yamashita Y, Kosugi C, Suzuki H, Sembon S, Suzuki S, Nakai M, Hashimoto M, Yasue A, Matsuhisa M, Noji S, Fujimura T, Fuchimoto D, Otoi T*. Somatic cell reprogramming-free generation of genetically modified pigs. Sci. Adv., 2(9):e1600803 (2016)
研究概要
ブタは生理学的、病理学的、解剖学的にヒトに近いことから、大動物としては最適な実験動物として注目を集めている動物です。また、その体の大きさもヒトに近いことから、医師の手術手技トレーニングや医療研究に活用されています。ヒトの病態モデルとなるようなブタを遺伝子改変によって作製できれば、医学研究の大幅な発展が期待されます。一方、マウスと異なりブタではES細胞が樹立されておらず、これまで遺伝子改変ブタは遺伝子を改変した体細胞を用いた体細胞クローン技術により作製されてきました。しかし、体細胞クローン技術による遺伝子改変ブタの作製には非常に高度な技術が必要で、ブタを有用な実験動物として活用する上で大きな障害となっていました。
近年、CRISPR/Cas9システムをはじめとするゲノム編集技術が確立され、様々な動物種で正確性の高い遺伝子改変が可能になりました。CRISPR/Cas9システムを用いてゲノム編集動物を作製する方法のひとつとして、受精卵の段階でCRISPR/Cas9システムを構成するCas9タンパク質およびガイドRNAを受精卵内に導入する方法があります。本研究では、電気をかけることで細胞内に微小な物質(分子)を導入するエレクトロポレーション技術を使用し、CRISPR/Cas9システムをブタの体外受精卵に導入してゲノム編集を行うGEEP(Genome Editing by Electroporation of Cas9 Protein)法を確立しました(Tanihara et al. Sci Adv., 2016)(図1)。GEEP法は、体細胞クローン法やガラスキャピラリーを用いて受精卵にCRISPR/Cas9システムを直接導入するマイクロインジェクション法と比較して簡便で、これまで本技術を用いて複数種の遺伝子改変ブタの作製に成功しています。
今後、難治性の疾病モデルブタをはじめとする多種の遺伝子を標的とした遺伝子改変ブタの系統樹立に活用することで、試験研究の幅が広がり医学研究の更なる発展に貢献できると期待できます。
今後の展望(研究者からのコメント)
近年、移植医療をはじめとして画期的な治療法やデバイスが次々と考案されています。近い将来そういった治療法を実用化していく上で、治療効果や安全性など、大動物モデルから得られる知見はますます重要になってくると考えています。今後、ブタの生殖工学技術とGEEP法をはじめとする様々な遺伝子改変技術を組み合わせ、有用なモデルブタを作製していくことで医学研究や再生医療研究の促進に貢献していきたいと考えています。