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徳島大学シーズ<L-02>:ライフサイエンス、創薬 |
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超高感度MRIの市中普及に向けて
― 共晶?共結晶法による核スピン偏極技術 ―
犬飼 宗弘 |
准教授 |
大学院社会産業理工学研究部 理工学域 自然科学系 物理科学分野 |
研究の概要 |
<核スピン偏極による超高感度MRIの普及のボトルネックは億単位の冷却装置コスト>
核磁気共鳴(NMR)は、原子核がもつ核スピン(磁石なようなもの)を検出することで、化合物の構造や運動の詳細を調べることができる。磁気共鳴イメージング(MRI)は、人体中の水分子の水素スピンを検出し、それを画像化したものである。核スピンの向きを揃える(偏極)技術は、NMRやMRIの感度を超高感度化(100~10000倍以上)できる量子技術の1つとして注目されており、材料、創薬、医療の分野において研究開発が強く求められている。例えば、ピルビン酸は腫瘍を検知するMRI分子プローブとして知られており、ピルビン酸の偏極は腫瘍の超高感度MRIに繋がる重要な研究テーマの1つである。
<技術課題:共晶?共結晶を用いた冷却不要の超高感度NMR?MRI法の提案>
本研究では、共晶や共結晶などの2種類以上の有機分子から組み上がる結晶に注目し、MRI分子プローブや薬の偏極技術を開発している。従来では極低温にすることで核スピン偏極を行っているが、我々は極低温の代わりに光を用いて核スピン偏極を行っている。室温で核スピン偏極ができ、寒剤が一切不要といった利点を有している。
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想定される用途と製品化?事業化イメージ |
<超高感度医療用MRIの普及やNMR創薬スクリーニングへの応用>
本技術は、共晶や共結晶が持つ長い偏極時間(緩和時間)を活かした超高感度NMR?MRI測定が期待できる。また寒剤を使用しない小型?安価な装置で核スピン偏極が可能であり、既設のNMR?MRIの側に偏極装置を設置することで、NMR?MRIの感度向上が可能となる。将来、地方?地域の病院を含めたMRIを有する多くの病院に適用可能であると考えている。 |
図1.MRI外観と核スピン偏極 |
図2.共結晶の核スピン偏極例
偏極により1HNMR信号が100倍以上向上 |
お問合せ先
徳島大学 研究支援?産官学連携センター
TEL:088-656-7592
E-mail:rac-info@tokushima-u.ac.jp