はじめに
徳島大学は、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの第14期事業年度の財務諸表を作成し、これに事業報告書、決算報告書、監査報告及び会計監査報告を添えて文部科学大臣に提出しておりました。
この度、平成30年8月31日付けで文部科学大臣の承認を得ましたので、決算の概要とともにご報告いたします。
財政状態
徳島大学の財政状態を表す貸借対照表は、平成30年3月31日における全ての資産、負債及び純資産を記載しています。
(資産の部)
資産の総額は約1,109.3億円であり、前年度に対して約13.9億円(約1.2%)減少しています。主な減少要因としては、減価償却等により、建物、建物附属設備、工具器具及び備品等が約25.9億円減少したことなどが挙げられます。
(負債の部)
負債の総額は約466.1億円であり、前年度に対して約12.2億円(約2.5%)減少しています。
主な減少要因としては、減価償却等により資産見返負債が約7.0億円減少したこと、病院の施設、設備に係る借入金の返済を行ったことにより借入金が約4.9億円減少したこと、契約期間満了に伴う医療機器等のリース債務の減少により未払金が約3.0億円減少したことなどが挙げられます。
(純資産の部)
純資産の部の総額は約643.2億円であり、前年度に対して約1.6億円(約0.2%)減少しています。内訳として資本金は約467.3億円で、前年度と同額です。資本剰余金は約85.0億円で、前年度に対して約5.1億円減少しています。利益剰余金は約91.1億円であり、そのうち前中期目標期間繰越積立金が約86.6億円、積立金が約1.1億円、当期未処分利益が約3.4億円となっています。当期未処分利益については、前年度に対して約2.3億円増加しています。
運営状況
徳島大学の運営状況を表す損益計算書は、一事業年度内に実施した事業等から発生する全ての費用とこれに対応する全ての収益を記載しています。国立大学法人の会計は、企業会計原則に基づいて行いますが経営成績を明らかにする企業会計とは異なり、公共的な性格を有すること、利益の獲得を目的としないこと、独立採算制を前提としないことなどから、経営成績ではなく運営状況を明らかにするための損益計算となっています。
(費用)
経常費用の総額は約455.3億円であり、前年度に対して約10.3億円(約2.3%)増加しています。主な費用の構成は、人件費が約222.2億円で全体の約48.8%、診療経費が約157.0億円で全体の約34.4%、教育?研究?支援経費が約43.4億円で全体の約9.5%となっています。
主な増加要因としては、退職手当の増加などにより人件費が約3.4億円増加したこと、附属病院収益の増加に伴う医薬品や診療材料等の増加などにより診療経費が約6.6億円増加したことなどが挙げられます。また、主な減少要因としては、教育研究関連の消耗品費等が約0.5億円減少したことなどが挙げられます。
(収益)
経常収益の総額は約461.2億円であり、前年度に対して約12.0億円(約2.6%)増加しています。主な経常収益の構成は、運営費交付金収益が約125.0億円で全体の約27.1%、学生納付金収益(授業料、入学金、検定料収益)が約44.0億円で全体の約9.5%、附属病院収益が約232.6億円で全体の約50.4%となっています。
主な増加要因としては、病院における入院延患者数の増加及び手術件数の増加等により附属病院収益が約10.3億円増加したことなどが挙げられます。また、主な減少要因としては、受入額の減少により寄附金収益が約0.5億円減少したことなどが挙げられます。
(当期純利益)
当期総利益は約3.4億円であり、前年度に対して約2.3億円(約213.3%)増加しています。
おわりに
平成29事業年度は第3期中期目標?中期計画(平成28事業年度~平成33事業年度)の2年目にあたります。本事業年度の徳島大学は、自己収入の確保、予算の効率的執行に努めた結果、経常収益が12.0億円増加し、それに伴い当期総利益が2.3億円増加する等、良好な財務状態を維持することができました。
しかし、徳島大学の財政基盤を支える国からの運営費交付金については、毎年減額されている状況であり、本学を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。このような状況のもとで安定した経営を行うためには、更なる経費の節減、自己収入の増加、クラウドファンディングを活用した研究資金の確保及び競争的資金の獲得に努めるとともに「知を創り、地域に生き、世界にはばたく徳島大学」として、教育?研究?社会貢献及び診療の各分野にわたり、その充実と不断の見直し?改善を進めて参りますので、今後ともご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。
決算の詳細についてはこちらをご覧下さい。